ラーイト、ノベール。
ライトノベル、書く。
2012-03-27T21:46:41+09:00
コウ
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2018-10-29T20:44:12+09:00
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故郷の草を求めて第161話…ハラヒシバッタの村…50
ハラヒシバッタの村を出て、
故郷の草地に向かうことを伝えた僕の言葉に、
「えぇー!
危ないよ、セイ君!
村にとどまって良いよ、て、言ったのに…」
ゲンが驚きの声を上げた。
ガサ、ガサ!
「どうしたんですか、村長?
大きな声を出したりして…」
ゲンの声を聞いて、シイが近くの茂みから跳んで出てきた。
ガサ、ガサ!
ラーナも跳んで出てきて、シイの後ろに着地した。
ゲンが彼女たちの方に体を向け、
「それが…、
セイ君が、この村を出て、
故郷の草地に向かうことに決めたみたいなんだ」
シイの問いかけに答えた。
「えぇー!
そ…そんな…、
どうして…」
シイが驚きの声を上げた。
「ほ、本当…、そうですよ。
一緒に、木登りをして、遊びたかったのに…」
ラーナも驚きの声を上げた。
そして、村の中心にある、大木を見上げた。
僕も大木を見上げた。
登ったら楽しそうだと感じ、この村にとどまりたい気持ちが高まってきた。
僕は慌ててブンブンと頭を左右に振った。
今朝、色々考えて、故郷の草地に向かうことに決めたのだ。
「故郷の草地で遊んでいた時の夢を見たんです。
そうしたら、故郷の草が食べたくなってしまって…」
僕は4匹に、故郷の草地に向かう理由を伝えた。
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コウ
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2018-10-22T19:21:42+09:00
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故郷の草を求めて第160話…ハラヒシバッタの村…49
大分、体を休ませることが出来た。
もうそろそろ立ち上がって、動き出そうかと思っていると、
「おはよう、セイ君」
横から声がかかった。
体を声がした方に向けると、ハラヒシバッタの村の村長のゲンがいた。
その後ろには、村の見回り役のバレックの姿もあった。
僕は2匹に、
「おはようございます、ゲンさん、バレックさん」
挨拶をした。
バレックが少しこちらに向かって歩いた後、
「おはよう」
言葉を返した。
続いて、ゲンが口を開く。
「脚の感じはどうだい、セイ君?」
ゲンからの問いかけに、僕は、
タッ!
その場で軽く飛び跳ね、脚の感じを確認した。
疲れもほとんど残っておらず、ケガの痛みもそれほど感じなかった。
「良い感じです」
僕はゲンに脚の感じを伝えた。
すると、ゲンが、
「それは何よりだ」
と言い、にっこりと微笑んだ。
その優しい笑顔を見て、この村にとどまりたい気持ちが高まる。
しかし、頭をブンブンと左右に振って、その気持ちを抑えた。
せっかく色々考えて村を出発することに決めたのだ。
僕は2匹の方に顔を向け、
「あの…、ちょっと伝えたいことがあります。
今朝、この村にとどまるか、故郷の草地に向かうか、
考えていたんですけど…、
僕は、故郷の草地に向かうことに、決めました」
今朝、考えたことを伝えた。
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コウ
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2018-10-15T20:33:58+09:00
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故郷の草を求めて第159話…ハラヒシバッタの村…48
僕は草を食べ終えた。
そして、やわらかなコケがたくさん茂っている所まで移動し、
身をゆだねた。
とりあえず、食事をしたばかりなので、
しばらく、ここで体を休ませよう。
そして、
ハラヒシバッタの村のバッタたちにお礼を言い、
その後、故郷の草地に向け、出発しよう。
…この村のバッタたちには、本当にお世話になったよ。
数日間、滞在させてもらえた。
暗い夜も安全に過ごせて良かったよ。
もし、この村に立ち寄ることが出来なかったら…。
あの時は、堤防でアカテガニの襲撃を受けた後で疲れていたし、
もし、そんな状態の時に、また危険生物に遭遇したら…。
僕はブルブルと体を震わせた。
こ…この村に滞在することが出来て、本当に良かった…よ。
それに、薬草である、よもぎも食べることが出来た。
ラーナが見つけてくれて、シイと一緒に3匹で、
村の外に食べに行ったのだ。
本当に香りが良くて、おいしく、良い経験をさせてもらえたと思った。
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コウ
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2018-10-09T16:56:59+09:00
2018-10-09T16:56:59+09:00
故郷の草を求めて第158話…ハラヒシバッタの村…47
僕は草をかじりながら、故郷の草地のことを思い出す。
僕はその場所で生まれ育ったのだ。
このハラヒシバッタの村のように、コケや木の葉はないのだが、
日当たりはよく、イキの良い草がたくさん生えていた。
これから暖かくなると、ますますイキが良くなるだろう。
故郷の草…、食べたいよ。
それに、あの2匹のバッタたちと遊びたいと感じる。
レイちゃんとイナコちゃんと、一緒に跳ねあって楽しみたい。
…そうだ。
忘れてはいけないことがある。
2匹との約束を破ってしまったのだ。
跳ねあって遊ぶ約束をしていたのに、僕は川に流されてしまって…。
2匹に謝らないといけないと感じる。
その上で、また草の上で鬼ごっこをしたい。
もっと華麗に飛び跳ねて先回りをし、2匹を驚かせてやるのだ。
…考えてみると、
故郷の草地で、やりたいことが、たくさんあるよ。
故郷の草を食べたいし、2匹と遊びたいし…。
…。
…。
…。
…よ…し、決めたぞ、僕は。
危険な道だし、途中で果てる恐れもあるが…、
どうしても、やりたいことがあるのだ。
故郷の草地に…、
僕は向かうぞ!
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コウ
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2018-10-03T21:16:36+09:00
2018-10-03T21:16:36+09:00
故郷の草を求めて第157話…ハラヒシバッタの村…46
僕は、目を覚ました。
抱きついていた草の根元から下りる。
そして、辺りを見回した。
右の方には、川が流れていた。
その流れの先には、堤防があり、
さらに先を見渡すと、大海原があった。
水平線上には太陽が昇り始めていた。
前方を眺めると、コケや草木が生い茂り、
左の方に顔を向けると、
20mぐらいの高さの大木が、天に向かって生えていた。
ここは…、
故郷の草地…ではない。
ハラヒシバッタの村だ。
どうやら…僕は夢を見ていたようだ。
故郷の草地で、友達のバッタたちと跳ねあって遊んだ日の夢を…。
彼女たち、レイちゃんとイナコちゃんとは、
よく飛び跳ねたり、鬼ごっこをしたりして遊んだ。
さっき見た夢は…、
僕が川に流された日の前日に、彼女たちと遊んだ時のことだ。
あの後、何度も草の上で、うまく鬼ごっこをしようとしたんだけど、
どうにもちゃんと出来ず、よく地面に落ちたことが思い出されるよ。
今度、鬼ごっこをする時は、もっとうまくやりたいところだ。
…そうか、ここはハラヒシバッタの村だった。
彼女たちのいる草地ではないのだ。
また鬼ごっこをしようと思ったら、危険な道を飛び跳ねていく必要がある…。
ぐぅ…。
僕のお腹が鳴いた。
そういえば、まだ朝食を食べていなかった。
とりあえず考えるのは後にして草を食べよう。
僕は目の前に生えている草に近づき、
かじり始めた。
ガジ、ガジ。
ムシャ、ムシャ、ムシャ。
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コウ
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2018-09-28T21:07:32+09:00
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故郷の草を求めて第156話…ハラヒシバッタの村…45
イ、イナコちゃんは、かなりすぐ近くまできている!
急いで他の葉に跳び移らないと―
僕は素早く体を左に向けた。
目の前に生えているのは―
幅の狭い葉と…、
気持ち小さめの葉を持つ草だった。
さ…さっき右の方で見た草の葉と、それほど変わらないよ!
このくらいの葉の大きさだと、うまく跳び乗れるか…。
ガサッ!
僕のすぐ後ろで、草の揺れる音がした。
ヤ、ヤバイよ!
もうイナコちゃんは、僕のすぐ後ろだ!
跳び移れるか不安があり、
他のちょうど良さそうな葉を探したいけど、
そんなことをしている余裕なんてない距離感だよ!
思い切って跳ぶんだ、僕よ!
ダッ!
僕は勢いよく目の前の小さめの葉に向かって跳んだ。
ザッ!
葉の上に僕の体が乗り―
跳び乗った勢いで、大きく傾いた。
脚がすべり、体が後ろに倒れそうになる。
僕は慌てて葉につかまろうとするが―
間に合わず、
葉の上から転がり落ちた。
う…うまく葉の上に跳び乗れなかった…。
体が地面に向かって、落ちていくよ!
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コウ
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2018-09-23T18:56:21+09:00
2018-09-23T18:56:21+09:00
故郷の草を求めて第155話…ハラヒシバッタの村…44
イ…イナコちゃんが、こちらに向かってきている!
は、早く、他の草の葉に跳び移らないと―
僕は慌てて周囲を見回した。
右の方には細長い葉と、気持ち小さめの葉があった。
こっちの方は…、
と…跳んではいけない感じがしてくるよ。
今、乗っている葉よりも細いし…、小さい。
この葉に跳び乗った時でも結構傾いて、
危うく地面に落ちそうになったのだ。
こっちの方に跳んだら、もっと傾いて、
葉の上から落下する可能性が高いように思える…。
ザァ…、ザァ!
い…いけない!
悠長に考えている場合ではなかったよ!
イナコちゃんが近付いてきているのだ!
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2014-04-14T08:16:35+09:00
2014-04-14T08:16:35+09:00
故郷の草を求めて第154話…ハラヒシバッタの村…43
しばらく草をかじって休憩した後、
「じゃあ、私が鬼で開始しましょう。
鬼ごっこGO!」
イナコちゃんの掛け声とともに鬼ごっこがスタートした。
タッ!
レイちゃんとイナコちゃんが高く飛び跳ね、
頭上の葉の上に乗った。
タッ!
僕も地面を強く蹴って跳び、
幅の広い葉の上へと乗る。
着地した瞬間、僕の重みで葉が少し傾いた。
体が後ろに転がりそうになる。
僕は慌てて葉にしがみつき、こらえた。
あ…危ない、鬼ごっこが始まって早々、
いきなり地面に落ちるところだったよ。
ちゃんと鬼ごっこが出来るよう、気を付けないと…。
―そうだ、いけない、
鬼ごっこはもう始まっているんだ。
鬼のイナコちゃんは今、どうしているだろうか…?
僕は彼女が跳び乗った葉の方を見た。
イナコちゃんは―
ガサッ…ガサッ!
草の上を素早く跳び移りながら、
僕の方に向かっているところだった。
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2014-04-02T02:33:17+09:00
2014-04-02T02:33:17+09:00
故郷の草を求めて第153話…ハラヒシバッタの村…42
3時間ほど真上にたくさん飛び跳ねて遊んだ後の休憩中、
「昼からは何をして遊ぼう?」
レイちゃんが草をかじりながら僕とイナコちゃんに聞いた。
「鬼ごっこをして遊ぼうよ!」
足元の草をかじっていたイナコちゃんが顔を上げて答えた。
僕とレイちゃんがうなずく。
「賛成だよ!」
「周りの草も大分茂っているし、
草の上でうまく落ちないように鬼ごっこしよう!」
レイちゃんの提案にイナコちゃんが飛び跳ねて喜んだ。
「それは面白そう!
私、落ちないよう、ちゃんと草の上を跳び移っていけるかな」
僕は頭上を見上げ、周りに茂る草を眺めた。
幅が広かったり、細長かったり、
複雑にギザギザしているなど、様々な形の葉があった。
葉同士の間隔があったりなかったりした。
「いつもよりレベルの高い鬼ごっこだよ。
少しでも跳ねる力を間違えたら地面に落ちてしまう。
でも、うまく加減してちゃんと鬼ごっこが出来れば、
かなり充実感を覚える、楽しい鬼ごっこだ。
よぉし、
ずっと僕が鬼にならないように、
うまく飛び跳ね続けてやるぞ!」
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コウ
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2014-01-07T01:36:49+09:00
2014-01-07T01:36:49+09:00
故郷の草を求めて第152話…ハラヒシバッタの村…41
「じゃあ、最初のジャンプは軽めにいくよ。
3…2…1…ジャンプ!」
タッ。
レイちゃんの掛け声に合わせて3匹が真上に一斉に軽めの力で飛び跳ねた。
3匹の体が10cmほど飛び上がって、地面へと戻る。
「次は思い切りジャンプだ。
3…2…1…ハイジャンプ!」
タッ!
レイちゃんの掛け声に合わせて3匹が真上に一斉に力いっぱい飛び跳ねた。
体が20cmほど飛び上がった後、地面へと戻った。
「3匹とも大分高く跳べたね。
随分、脚力がついてきているよ」
レイちゃんの言葉に僕とイナコちゃんがうなずいた。
「本当、そうだよ。
僕達が最初に遊んだ時は5cmも跳べなかったけど、
1ヵ月ずっと3匹で飛び跳ねて遊んで、後ろ脚が大分鍛えられた」
僕は言って、自分の後ろ脚を見た。
「ほとんど毎日飛び跳ねて遊んだからね。
今日も3匹、後ろ脚が疲れ切るまで跳んで遊ぼう!」
イナコちゃんの気合いの入った声に、僕とレイちゃんは笑顔でうなずいた。
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コウ