ハラヒシバッタの村を出て、
故郷の草地に向かうことを伝えた僕の言葉に、
「えぇー!
危ないよ、セイ君!
村にとどまって良いよ、て、言ったのに…」
ゲンが驚きの声を上げた。
ガサ、ガサ!
「どうしたんですか、村長?
大きな声を出したりして…」
ゲンの声を聞いて、シイが近くの茂みから跳んで出てきた。
ガサ、ガサ!
ラーナも跳んで出てきて、シイの後ろに着地した。
ゲンが彼女たちの方に体を向け、
「それが…、
セイ君が、この村を出て、
故郷の草地に向かうことに決めたみたいなんだ」
シイの問いかけに答えた。
「えぇー!
そ…そんな…、
どうして…」
シイが驚きの声を上げた。
「ほ、本当…、そうですよ。
一緒に、木登りをして、遊びたかったのに…」
ラーナも驚きの声を上げた。
そして、村の中心にある、大木を見上げた。
僕も大木を見上げた。
登ったら楽しそうだと感じ、この村にとどまりたい気持ちが高まってきた。
僕は慌ててブンブンと頭を左右に振った。
今朝、色々考えて、故郷の草地に向かうことに決めたのだ。
「故郷の草地で遊んでいた時の夢を見たんです。
そうしたら、故郷の草が食べたくなってしまって…」
僕は4匹に、故郷の草地に向かう理由を伝えた。