大分、体を休ませることが出来た。
もうそろそろ立ち上がって、動き出そうかと思っていると、
「おはよう、セイ君」
横から声がかかった。
体を声がした方に向けると、ハラヒシバッタの村の村長のゲンがいた。
その後ろには、村の見回り役のバレックの姿もあった。
僕は2匹に、
「おはようございます、ゲンさん、バレックさん」
挨拶をした。
バレックが少しこちらに向かって歩いた後、
「おはよう」
言葉を返した。
続いて、ゲンが口を開く。
「脚の感じはどうだい、セイ君?」
ゲンからの問いかけに、僕は、
タッ!
その場で軽く飛び跳ね、脚の感じを確認した。
疲れもほとんど残っておらず、ケガの痛みもそれほど感じなかった。
「良い感じです」
僕はゲンに脚の感じを伝えた。
すると、ゲンが、
「それは何よりだ」
と言い、にっこりと微笑んだ。
その優しい笑顔を見て、この村にとどまりたい気持ちが高まる。
しかし、頭をブンブンと左右に振って、その気持ちを抑えた。
せっかく色々考えて村を出発することに決めたのだ。
僕は2匹の方に顔を向け、
「あの…、ちょっと伝えたいことがあります。
今朝、この村にとどまるか、故郷の草地に向かうか、
考えていたんですけど…、
僕は、故郷の草地に向かうことに、決めました」
今朝、考えたことを伝えた。