僕は草をかじりながら、故郷の草地のことを思い出す。
僕はその場所で生まれ育ったのだ。
このハラヒシバッタの村のように、コケや木の葉はないのだが、
日当たりはよく、イキの良い草がたくさん生えていた。
これから暖かくなると、ますますイキが良くなるだろう。
故郷の草…、食べたいよ。
それに、あの2匹のバッタたちと遊びたいと感じる。
レイちゃんとイナコちゃんと、一緒に跳ねあって楽しみたい。
…そうだ。
忘れてはいけないことがある。
2匹との約束を破ってしまったのだ。
跳ねあって遊ぶ約束をしていたのに、僕は川に流されてしまって…。
2匹に謝らないといけないと感じる。
その上で、また草の上で鬼ごっこをしたい。
もっと華麗に飛び跳ねて先回りをし、2匹を驚かせてやるのだ。
…考えてみると、
故郷の草地で、やりたいことが、たくさんあるよ。
故郷の草を食べたいし、2匹と遊びたいし…。
…。
…。
…。
…よ…し、決めたぞ、僕は。
危険な道だし、途中で果てる恐れもあるが…、
どうしても、やりたいことがあるのだ。
故郷の草地に…、
僕は向かうぞ!