でも、他に、フナの頭突きから逃れられそうな方法が…思いつかない。
グン、グゥゥゥン!
フナが、どんどん近付いて来ている。
もう間近だ!
この小枝を信じるしかない!
耐えてくれ!
小枝よ!
ギュ。
僕は小枝を、強く抱きしめた。
グゥゥゥン!
フナが、来た。
強い衝撃が、来る!
僕は頭を低くし、まもなくやって来るフナの頭突きの衝撃に、備えた。
…。
…?
衝撃が、来ない。
グゥゥゥン…。
フナの水をかく音が、
逆に、少しずつ遠ざかっていく…。
どうして。
僕は顔を上げた。
フナが上流から、悔しそうに、僕のことをにらんでいた。