ガッ。
僕は慎重に脚を引っかけ、のぼり始めた。
脇目も振らず、ひたすらのぼる。
ガッ。
ガッ。
半分ぐらいまで、のぼった。
脚を止め、見上げる。
てっぺんが、遠くに…見えるよ。
後、25cm程。
大した距離でないはずなのに、それ以上の距離に思える。
脚の疲労と、この船ののぼりにくさが、そう思わせるのだ。
でも、頑張ってのぼるよ。
ここで休んでいたら、揺れや風で脚が外れ、水面に落ちかねない。
慎重、かつ、スピーディーにのぼるぞ!
ガッ。
ガッ。
後、10cm。
ガッ。
ガッ。
5cm。
ガッ。
ガッ。
よし!
上に着いた!