そう願ったところで、いきなりは、はえてくれないよ。
何回でも脱皮して、羽が出来ていくのだ。
…思い切って、川の上に降り、泳ぐか。
僕は、川を見つめた。
激流が僕の目に映った。
強風にあおられ、大きな波がたっていた。
流されていたペットボトルが…、
水面下に消えた。
駄目だ…よ。
僕のこの小さい体では、波にのまれ、確実に水面下だよ!
自力では、なんとか出来ないように思える。
そうなると…、
祈るしかない。
元いた草地の上に、葉が飛ぶよう、祈るぞ!
もしかしたら、風に僕の想いが、届くかもしれない。
風よ!
どうか、お願いします。
僕を、
僕を元いた草地の上に、戻して下さい!
僕は空を見上げ、風に願った。
すると、
ボォォォ!
僕の声に応えたかのように、風が横から吹きつけた。
葉が…!
川の…中ほどを飛んでいた葉が、
草地へと、
僕のいた草地の方へと、
飛ぶ方向を変えた!