ビシャ、ビシャ!
僕は脚で水面を蹴り、岸に向けて泳ぎ出した。
必死になって、脚を動かす。
しかし、 強風で水面が荒れている。
波が僕の脚の動きを阻む。
思うように岸に近付いていかない!
でも、あきらめてなるものか。
イナコちゃんとレイちゃんの2匹と遊びたいのだ。
跳びあうだけじゃないぞ。
鬼ごっこもしたい。
昨日は、イナコちゃんに捕まってしまったが、
次やる時は、華麗にジャンプして、逃げ切りたいと思っているのだ。
僕が鬼になった場合のことも考えている。
勢いをつけてジャンプして先回りし、タッチしてやるぞ!
イナコちゃんとレイちゃんをびっくりさせてやるのだ。
そのため、僕は陸に上がらねばならない。
必ずだ。
脚の力を限界まで高めて、上がってやる!
ビシャ!
ビシャ!
水面を2回蹴った。
これまでよりも、大きく前に進んだ。
この調子で、泳いでいくぞ!
ビシャ!
ビシャ!
岸が近付いてきた。
なんとか、辿り着けそうだよ!
そう喜んだ時―
ピィィィン。
僕の触角が、
反応した。