枝の上に乗った直後、
「ちっ!」
ビシャン!
さっきまで僕がいた水面を、フナが舌打ちをしながら通り過ぎた。
危な…かった。
ギリギリのタイミングだった。
跳ぶのが、もう少し遅かったらアウトだったよ。
脚も限界だった。
ちゃんと枝に跳び乗れて良かったと感じる。
だけど、
困ったことに気付くよ。
どんどんと草地が離れていく…。
生まれ故郷が遠のいていく…よ。
このままでは、仲間と離れ離れになってしまう。
なんとか戻りたいが…、
難しく感じる。
泳いで、陸に辿り着けるだけの力は残っていない。
枝から水面に降りようものなら、今度こそ、フナに捕まってしまいそうだ。
…いや。
降りなくても、捕まりそうな感じがしてきた…よ。
フナが、再び、凄い勢いで…、
こちらに向かってきている!