頑張って前に向かって跳ねたのに、
また、水面に落ちてしまうよ!
いや。
それより前に、
グゥゥゥン!
フナが、水面下から、来る!
このままでは…、
やられてしまう!
…やられて、
たまるか!
蹴って…やる。
フナを、蹴ってやるよ!
凄い勢いで上がって来るだろう。
大きな口を開けているだろう。
しかし、スピードを極限まで高め、蹴る位置を見定め、蹴ってやるよ!
フナを踏み台にして、枝の上に、着地してやる!
グゥゥゥン!
ひれの水をかく音が、大きくなった。
そして―
バシャン!
フナが水面から、飛び出てきた。
大きく口を開け、
凄い勢いで迫る。
一瞬で、僕のすぐ真下―
蹴るのは、
今だぁぁぁ!
僕は後ろ脚を下に向かって、
思い切り、突き出した。
バァン!
蹴りが、フナの頭部に、
命中した。