嬉しいよ。
ちゃんと枝の上に戻れた。
僕の心に、喜びが湧き上がった。
グゥゥゥン!
いけない。
喜んでいる場合では、なかった。
フナから、逃げ切れたわけではないのだ。
フナの水をかく音が、聞こえている。
上流に向かって、泳いでいるのが見えた。
5m程上流まで移動した後、反転し、
水面近くまで上がって、動きを止めた。
「やってくれたな。
ショウリョウバッタ。
俺に蹴りを放ち、攻撃をかわすとは。
せっかく華麗に跳び上がったのに、ふいにしやがった。
お前は…、
俺を怒らせてしまったな。
今度は、逃がさねぇ!
枝の上のお前に、直接、頭突きを食らわしてやるよ!
この位置から泳ぎ、俺の限界速度まで加速し、
枝の手前でジャンプして、お前に俺をぶつけてやるよ!」