やった…よ。
フナから…、
逃げられたよ!
泳ぎが速く、頭突きの強いフナだった。
よく、つかまらなかったと感じる。
この枝が、近くを流れていて良かった。
ガシ。
僕は嬉しさから、足元の枝に抱きついた。
…しかし、
大分、流されてしまった。
僕が住んでいた河川敷の草地が、見えなくなってしまっている。
その河川敷の近くにあった橋が、遠くでかすんでいる。
僕の歩幅では、数日かかっても、辿り着けない距離だ。
フナに追われている間に、致命的なまでに、流されてしまった。
戻るのが、難しく思えるよ!
イナコちゃん、レイちゃんと、遊ぶ約束をしていたのに…。
明日、出会って遊ぶと。
その約束を…果たせなくなってしまった。
…なんとかして、戻らねば。
約束をやぶってしまってゴメンと頭を下げたい。
そして、その後、一緒に跳ねあって遊びたい。
戻るには、数ヵ月かかるかもしれない。
危険もいっぱいありそうだ。
でも、なんとかして戻り、跳ねあって遊ぶ…ぞ!