ビュゥゥゥ!
凄い風だよ!
船から離れた途端、受ける風が強くなった。
風をさえぎるものが、このつかまっているロープ以外にないのだ。
足元を抜かした、全方位から、風が僕に当たる!
今にも、体が浮き上がりそうだ!
でも、今はまだ、ましな方だ。
それ程、ロープが揺れていない。
つながれたロープの端の方にいるためだ。
これから、船と岸の中間に、さしかかっていく。
中間地点は…、
かなり揺れているよ。
僕は体を震わした。
でも、通らないと岸に辿り着けない。
頑張って、僕!
僕はロープをつかむ脚に、一層の力を入れて進んだ。
進むにつれ、
どんどん、
揺れが大きくなっていく。
…後少しで、中間地点。
風が強く吹いた時に、一番激しく揺れるポイント…。
どうか、風よ。
そこを通る時は、強く吹かないで下さい。
僕はそう祈りながら、ロープをつたっていく。
…中間地点に、着いた。
よ…し。
風に激しく吹かれず、ここまで到達出来た。
ここを過ぎれば、
揺れが落ち着いていく。
後、もうひと踏ん張り―
そう思った時、
ボォォォ!
凄まじい突風が、僕とロープを襲った。