ロープから外れるギリギリのところで、
前脚がとどまった。
タッ。
宙に浮いていた中脚、後ろ脚が、ロープの上に戻る。
衝撃に…耐えられた。
大分、厳しい衝撃だった。
前脚がしびれている。
何度も耐えられそうにない。
再び、
突風が起こる前に、
岸へ到着しておきたい。
後、1m程…。
結構な距離がある。
厳しそうだ。
せめて、この中間地点からは離れておくぞ!
僕は先程より速いペースで、ロープの上をつたい始めた。
ビュ…。
同時に、静まっていた風が、うなり出す。
不穏な気配…だ。
急げ、僕よ。
ビュゥ…。
先程より、大きな風の音。
ビュゥゥ…。
ドンドン大きくなっている。
ビュゥゥゥ…。
ドンドンだ。
…中間地点から、
大分、進んだ。
僕がそう思った時、
ボォォォ!
左からの横殴りの突風が、僕とロープを襲った。