強い突風が来たぞぉぉぉ!
体が右に持っていかれる!
ちょっとでもロープをつかむ脚の力がゆるんだら、
体が浮き上がって、川の上だ!
ブウン、ブウン!
ロープが凄い揺れている!
脚の力を消耗させていくよ!
後ちょっとで岸なのだ。
後、50cm程なのだ。
持ってくれ、脚よ!
僕は、なけなしの力で、ロープを抱き続けた。
体が浮き上がるのを、必死にこらえ続けた。
しばらくして、
ビュゥゥゥ…。
風が弱まり始めた。
ブウン、ブウ…ン…。
ロープの揺れも、おさまってくる。
突風に耐えることが、出来た…ぞ。
ここより後ろの方では、大分、揺れていた感じだった。
そっちの方にいたら、ヤバかった。
中間地点から、進めていて良かったよ。
…さあ、急ぐぞ。
いずれまた、このレベルの、
いや、それ以上の突風がやって来る。
それに耐えられるだけの脚の力が、
僕には、ほとんど残されていないように思える。
一気に…、
ロープの上を駆けるぞ!
次の突風が来て吹き飛ばされる前に、岸に到着する。
頑張って、駆けるぞぉぉぉ!
うおお!
ダッ!
僕は6本の脚を高速に動かし、岸に向かって駆け出した。
ビュゥ。
数歩進んだところで、風がうなりを上げ始める。
まだ、強く吹かないで欲しい、風よ!
ダッ!
…残り、30cmまで来た。
ビュゥ、ビュゥ。
風が、ますます不穏になってきている。
素早く、駆けろよ、僕!
ダッ!
…残り、15cmだ。
ビュゥゥ、ビュゥゥ。
いけない。
風が、もう、かなり不穏だ。
急げ!
10cm。
5cm。
着いた!
僕は素早くロープの上から跳ね、
タッ。
コンクリートの地面に着地した。