体が宙を舞う。
その直後、
僕が先程までいた場所に、
ブゥン!
ハサミが振り下ろされた。
ゴォ!
地面に激しくぶつかり、周囲を揺らす。
その衝撃を背中に受けながら、
タッ。
僕の体が地面に着地した。
もう少しジャンプするのが遅かったら、
きつく叩かれていた…よ。
ちゃんと避けられて良かった。
同じようにジャンプを繰り返して、
堤防から脱出するぞ。
ダッ!
僕は地面を蹴り、階段に向かって大きく跳んだ。
「どんどんいくぞ、ショウリョウバッタ!」
言いながらアカテガニが体の向きを修正し、横歩きで動き出す。
かなりの加速力…だ。
ダ…ダダ!
背後から近付く音が、どんどん大きくなっていく。
出来れば、追いつかれないうちに階段に着きたい。
急げ、僕!
ダッ!
僕の地面を蹴る音が、先程より強く周囲に響く。
ダダダ!
しかし、アカテガニの地面を蹴る音も強くなる。
ダッ!
ダダダ!
ダッ!
ダダダ!
…駄目だ!
すぐ後ろにまで…、
迫られたよ!
攻撃を…食らってたまるか!
左斜め前へ、大きくジャンプだ!
ダッ!
体が高く宙を舞った。
そのすぐ、
シュ!
後ろで風の切れる音が響く。
鋭くハサミが突き出された音…だ。
タッ。
僕の体が地面に着地する。
当たったら、とんでもなくダメージを受けていたように思える。
かわせれて良かったよ。