「ど、どうしましょう、セイさん。
薬草…」
シイがうろたえ、僕に聞いた。
「や、止めるよ。
こ、光合成の邪魔をしてはいけないし、
僕のケガ、別に大したことないから…」
僕もゲンの優しい目にプレッシャーを感じて、うろたえながら答えた。
僕の言った言葉に反応し、ゲンがこちらを向く。
「ケガ…?
セイ君、ケガを…しているのかい?」
ラーナがゲンに1歩、歩み寄る。
「そ、そうです、村長。
昨日、私を助ける時に、前脚を」
ゲンが目を見開く。
「!
あの時に。
す、すまなかった、セイ君。
助けてくれた君を、じっと優しい目で見つめてしまって。
ケガが大したことあるとか、ないとか関係ない。
遠慮なく、食べてよ」
ゲンが申し訳なさそうな表情になり、僕に薬草を食べるよう、すすめた。
「い、いえ、止めておきます。
一晩寝て、大分、良くなりました。
今は少しヒリヒリするだけです」
僕は横目で無残な姿になっている薬草をチラッと見て断った。
「そうか。
心遣い、感謝するよ、セイ君。
薬草がこんな状態でなかったら良かったけど…。
まあ、
この村でゆっくりして、
治癒していきなよ。
…では、
俺はこれで行くよ。
またね、3匹とも」
ゲンはそう言って後ろを向くと、
タッ。
飛び跳ね、茂みの中へと消えた。