ガジ、ムシャムシャ。
ふぅ…、
草をお腹いっぱい食べた。
さぁ、眠ろう。
僕は目の前の草にしがみつき、体を休め始めた。
今日は、よく体を動かし、疲れている。
もう…まどろみだしたよ。
すぐ眠れそうな感じだ。
でも…、
本当にここで眠って良いのか、心配があるよ。
ここは、自分が今まで住んでいた草地ではないのだ。
始めて訪れた地なのだ。
ゲンは、安全だと言ってくれたが…、
不安を完全には捨てきれない。
そう思いながら、辺りを見回した。
…静かだ。
動くのは、風になびく草のみ。
危険は、ない…か。
僕がそう思った時、
視線の先に、
地面を歩く、誰かがいることに気付いた。
こちらの方に…近付いて来ている。
1匹…ではない。
5匹いるよ。
一体…、
彼らは何者なのだろうか。
まさか…、
この村に侵入した、危険生物…。
僕は目を凝らして、彼らを見つめた。
距離が近付くにつれ、輪郭がはっきりしてくる。
よ、良かった。
この村のハラヒシバッタ達だったよ。
そうか、ゲンが言っていた、この村の見回りをしているバッタ達だ。
体つきを見ると、がっしりしている。
強そうな感じだ。
危険生物が村に侵入しても、なんとかしてくれそうに思える。
彼らを見て、
眠っている最中に襲撃を受けるという不安が、随分と払拭されたよ。
安心して眠ることが出来そうだ。
ありがとう、見回りのバッタ達。
僕は彼らに感謝し、
ギュッと草を抱き、眠った。