しばらく草をかじって休憩した後、
「じゃあ、私が鬼で開始しましょう。
鬼ごっこGO!」
イナコちゃんの掛け声とともに鬼ごっこがスタートした。
タッ!
レイちゃんとイナコちゃんが高く飛び跳ね、
頭上の葉の上に乗った。
タッ!
僕も地面を強く蹴って跳び、
幅の広い葉の上へと乗る。
着地した瞬間、僕の重みで葉が少し傾いた。
体が後ろに転がりそうになる。
僕は慌てて葉にしがみつき、こらえた。
あ…危ない、鬼ごっこが始まって早々、
いきなり地面に落ちるところだったよ。
ちゃんと鬼ごっこが出来るよう、気を付けないと…。
―そうだ、いけない、
鬼ごっこはもう始まっているんだ。
鬼のイナコちゃんは今、どうしているだろうか…?
僕は彼女が跳び乗った葉の方を見た。
イナコちゃんは―
ガサッ…ガサッ!
草の上を素早く跳び移りながら、
僕の方に向かっているところだった。