シイが驚いた表情になって、枝の上のラーナを見つめる。
「薬草が…?」
ラーナがうなずいて後ろを向き、先を見下ろした。
「ここから10mほど先に行った所です。
ここに生えているものと同じ種類の薬草が、
たくさん茂っています」
聞いて、シイが嬉しそうな表情になる。
「そう。
たくさんの薬草が」
ラーナが体をこちらに向け、枝から跳ね、降下してくる。
ザァッ。
草の葉を揺らし、少し前の地面に着地した後、
「どうしましょうか、薬草…」
僕達に聞いた。
シイが、ラーナが見た、薬草のある方向をじっと眺める。
嬉しそうだった、その顔が、
見る見るうちに曇ってきた。
「でも…、大分、村の外に出ることになっちゃうよ。
ここは村の端だもの。
10mも奥に行ったら…、
危ないよ」
それを聞いて、僕も顔を曇らせた。
「村の外…。
確かに、ヤバい感じがしてくるよ。
昨日、村長から、多くの危険生物が、この林にいると聞いたし…。
せっかく見つけてくれたのに、残念だけど…、
あきらめた方が良いかも…」
そのシイと僕の言葉に、
ラーナがブンブンと首を横に振った。
「平気だよ。
10m…、
飛び跳ねて行ったら、少しの時間で往復出来る距離だよ。
行って戻るのに、10分もかからない。
行こうよ、薬草へ」