す、凄い気迫だよ!
けおされ、跳ぼうとしていた脚が止まってしまった。
どうする、僕。
本当に行くのか。
アカテガニ、自信ありげだよ。
せっかくのぼっても、叩き落とされそうに思えてくる。
しかし、
不可能ではないはずだ。
うまく跳ぶことが出来れば…。
「ショウリョウバッタ、来ないのか。
だったら、こっちから行くぞ!」
アカテガニはそう言い、凄い勢いで階段を下りだした。
しまった、
先に動かれてしまったよ!
あの速度だ。
ものの数秒で、ここまで来てしまう。
この階段をあきらめて、
次の階段に行くか。
いや、出来れば、この階段で上に行きたい。
アカテガニにずっと追われ、脚が疲れてきているのだ。
次の階段までは、それなりの距離がある。
脚が持つのか心配だ。
…よし、
アカテガニが僕の前にある段差を下っている時に、
ジャンプをして跳び越えるぞ。
凄まじい接近速度だが、神経を集中して、タイミングよく跳ぶ!
ダダダ!
アカテガニが上の段に来た。
ジャンプ、準備だ!
僕は後ろ脚に力を込めた。
ダダダ!
アカテガニが上の段の端まで来た。
ジャンプまで後少し…。
「上から強襲だ、ショウリョウバッタ!」
ダッ!
なっ!
アカテガニが段差を、跳んで降下してきた!