アカテガニを超越したアカテガニ…。
とんでもなすぎるよ。
で、でも、
考えてみると、動ける方向が増えただけなのだ。
今までと大差ないはず。
大丈夫だよ。
堤防を脱出出来る。
「ふっ。
動きに前歩きを入れることで、俺の戦闘能力は格段に向上する。
それを感じさせてやるぞ」
そ、そんな。
能力が向上するよ。
大丈夫ではない感じが高まってきた。
一体どのように変わるというのだ。
「…本当は早くから、そのように動きたかったのだが、
まだ極めておらず、脚がすぐに疲れてしまうのさ。
だが、この周囲をしばらく動き回るぐらいのことは出来る。
俺のハサミ攻撃が、お前の体を捉えるには、十分。
覚悟だ、ショウリョウバッタ!」
ダダダ!
アカテガニが前歩きで動き出した。
速い!
横歩きの時と同じか、それ以上か!
早くこの場から動かないと!
僕は体を左に向け、
タッ!
跳んだ。
跳んですぐ、
ザッ。
僕がさっきまでいた場所に、アカテガニが到達する。
そして、
ダダダ!
すぐに横歩きに切り替えて、追ってきた。
ほぼ直角の、
鋭い方向転換!
トッ。
僕の体が地面に着地する。
ザッ!
すぐ右にアカテガニの姿!
左と右のハサミ両方を上に構えている!
早く左斜め前へ跳べ、僕よ!
ダッ!
倒れ込むように跳ぶ。
その直後、
ブゥ、ブゥン!
ハサミが振り下ろされた。