シイが少し下を向き、う~んと、うなる。
「10m…。
確かに、飛び跳ねて行けば…、すぐ着けれる距離…。
移動には、それ程、時間はかからない。
問題は、薬草を食べる時だけど…、
長居しなければ、大丈夫…かな。
セイさん。
どうしましょう」
シイがこちらに顔を向け、聞いた。
「ど、どうしよう。
近くて、簡単に行けれそうに思えるけど…。
でも、危険があると思うと、本当に行っても良いのか…」
僕はどうしたら良いのか分からず、困った。
ラーナが僕に一歩近付く。
「セイさん、行きましょう。
そして、薬草をたくさん食べて下さい。
早く前脚のキズを…治して欲しいんです…」
ラーナが言い、辛そうな顔になってうつむいた。
ラーナ…?
そう…か。
ラーナは、僕にキズを負わせてしまったことに、責任を感じているのだ。
そのため、木にまで登って薬草を…。
僕のために頑張って薬草を見つけてくれたのに、
行かないのも悪い感じがしてくる…よ。
10m…。
大したことない…距離だ。
危険な種族に襲われる可能性は、
そんなに高くないと思う。
よし。
「ラーナさん、薬草を見つけてくれて、ありがとう。
薬草の生えている場所へ、行こう」
僕は意を決し、
ラーナが見つけてくれた薬草の生えている場所に、
行くことを伝えた。
ラーナが少し表情を明るくし、うなずく。
「では…、
薬草の生えている場所へ、行きます。
私の後についてきて下さい」
僕とシイがうなずいた。
ラーナはそれを確認すると、
タッ。
村の外側へ向かって、跳んだ。