僕は迫るクロヤマアリをにらんだ。
ガサ、ガサ、ガサ!
草を激しく揺らしながら、こちらに向かってきている。
す、凄い迫力だ。
体が震えてくる。
近付かれないよう、遠くに飛び跳ねたくなる。
それでは…いけない。
ラーナにアゴが向けられないよう、
クロヤマアリにこの場から引いてもらわなければいけないのだ。
それに、逃げ回っても、やられる運命があるだけだ。
クロヤマアリには強靭な脚があるのだ。
日々、運ぶ作業を繰り返して鍛えている。
先にスタミナが切れ、地に伏すのは僕の方だ。
ひるまず、勇気を出して闘うぞ。
僕は迫るクロヤマアリをキッと見据えた。
猛烈な勢いで近付いてきている。
あの勢いで迫られたら、攻撃を当てるのは難しい…か。
動きを捉えられず、先にアゴの一撃を食らいそうだ。
どうする…。
よ…し、右斜め前に跳び、
クロヤマアリの横に着地だ。
そうすればクロヤマアリは方向転換しなければいけなくなり、
勢いが少しは落ちそうに思える。
懐に入り込まれる前に、前脚で叩くことも可能なはずだ。