アカテガニを超えた、極限の…力。
ヤバ…い。
ヤバいよ。
今までギリギリで、攻撃をしのいできた。
それなのに、
アカテガニがさらに力を高めるというのか。
「行くぞぉぉぉ」
アカテガニがそう言って動く。
横歩きで階段を下り切る。
そして、
体の正面を僕に向けると、
そのままゆっくりと、
前方向に、歩き出した。
タ、タ、タ。
「そ、そんな!
そんなことが!」
僕は、そのアカテガニの歩く姿を見て驚き、声を出す。
アカテガニが止まり、
「ハハッ!
凄いだろう、
恐ろしかろう、ショウリョウバッタ!
見ての通り、
俺は前方向に、
動くことが出来るのだ!
無論、後退することも出来る!」
哄笑しながら、言う。
僕は後ずさりし、
「どうして、そんなことが!
アカテガニは、普通、横にしか動けない!」
アカテガニに聞いた。
「俺は斜め横歩きが出来るようになった後、
それを極めようと鍛錬してきた。
絶え間なく、日々、鍛え続けたのだ。
そのかいあって、俺の脚の関節は、見る見るうちに柔軟になっていった。
そして、
斜め横歩きが極まった時、
可能になったのだ、
前後に動くことがね!
俺はアカテガニのDNAを超越してしまったのだよ!」