「ぐはぁ!」
アカテガニが声をもらして勢いよく前へ倒れ、
川の方へ転がっていく。
そして、
バシャン!
水しぶきを上げて落ちた。
アカテガニに攻撃を当てることが出来た…よ。
アカテガニは僕が跳び越すためにジャンプしたと思っていた。
うまく意表を突いた攻撃になったのかもしれない。
今のうちに堤防の外に脱出だ。
タタタ!
僕は助走して、
タッ!
飛び跳ね、段差の上へと上がった。
脚を休めずに、
タッ!
すぐに動き出し、階段へと向かう。
すぐにでもアカテガニが川から上がってきそうだ。
それまでに可能な限り、離れておきたい。
タッ、タッ、タッ!
…階段が近付いてきた。
タッ!
僕は高く跳んで、一段目を上がった。
バシャ!
着地してすぐ、後ろから水の飛び散る音が響く。
僕は後ろを振り向く。
アカテガニが川から上がっていた。
ポタポタと水を地面に滴らせながら、アカテガニが口を開く。
「やってくれたな、ショウリョウバッタ。
まさか空中攻撃を行うとは。
想定外の攻撃に、体を反応させることが出来なかった。
素早く、重みのある蹴りの力で、
体が川へと弾き出されてしまった。
大したショウリョウバッタ…だ。
前歩き、泡攻撃まで行って攻めたが、まさか、こちらが痛い目を見ようとはな。
悔しいが…俺の負けだ。
大分、体が疲れてしまった。
もうお前を追う力は残っていない。
ちっ、ショウリョウバッタ。
今度出会ったら、覚悟しておけよ!」
アカテガニはそう言うと、後ろに倒れて、
バシャン!
川の中へと消えた。