「すいません、セイさん。
私を助けようとしたばかりに…。
草の下に閉じ込められる前に、
察知して安全な場所に移動出来ていれば、こんなことには」
ラーナが沈んだ声で僕に言った。
「ケガをしたのは、僕の不注意だよ。
それに…、
昨夜の風は、ひどかった。
葉を僕ごと、上空に舞い上げる程に、
荒れていた。
風の音は、激しく、
その流れは、気まぐれだった。
枝が折れたことに気付くことは、困難だよ。
折れた枝が自分の近くに飛ばされて落ちることなんて、予想も出来ない。
気にすることなんて、何もないよ」
僕はラーナに言った。
「セイさん…」
ラーナがうるんだ目で僕を見つめた。
「セイさん。
本当に、ありがとう。
明日の朝、薬草を持ってきます。
この村周辺に、ケガに効く薬草が生えているんです。
それを食べれば、早くケガが治るはずです」
シイが言った。
「シイ、それは良い考え。
あの薬草は、よく効くから。
私も一緒に行きます」
ラーナが表情を明るくして、シイに言った。
シイがうなずく。
僕はその2匹の言葉に感動し、
「薬草、ありがたいよ。
僕の草の引っ張りミスが、ケガの原因なのに、
持ってきてもらうのは悪いので、
僕も一緒についていきます」
申し出た。