「あっ!
ラーナ…。
ショウリョウバッタさん。
ラーナがいます…。
ラーナ…。
ラーナ!」
僕の後ろからハラヒシバッタの女の子が、奥にいる女の子、ラーナを呼んだ。
「あっ…。
シイ…。
シイ!」
その声に反応し、ラーナが外に出てきた。
「おお…!
ラーナが、外に!」
ハラヒシバッタのオスが喜びの声を上げる。
「良かった!」
「一時はどうなることかと…」
周りにいるハラヒシバッタ達も喜びの声を上げた。
ラーナが目に涙をため、
「大きな音がして、起きたら、周りが真っ暗で…。
何も見えなくて…。
草の下に閉じ込められていることに気付いた時は、
もう…駄目かと思いました。
出ることが出来て本当に良かったです。
でも、どうして私は出ることが出来たのでしょうか。
あんなにたくさんの草の下にいたのに…」
振り返って草を見つめ、言った。
「こちらのショウリョウバッタさんが助けてくれたの。
草を懸命にかじり、脱出口を作ってくれたの」
シイが僕を見て、言った。
ラーナが僕の方を向き、
「こちらのショウリョウバッタさんが…。
私が外に出られるよう、
あの丈夫そうな草をかじり、
道を作ってくれたのですか…。
大変なことをさせてしまい、すいません…。
お陰で、助かりました。
ありがとう…、ショウリョウバッタさん」
言った。
「いえ…。
僕はお腹が空いていたので、
草をかじることは、苦ではありませんでした。
本当、無事で良かったです」