ゲンの言葉に僕は、
「た、確かにそう…ですね。
遠いので、無事辿り着けるのか…」
弱々しく答えた。
「酷なことを言ってすまない。
自分が住んでいた地から突然離されたのだ。
辛い…ことだろう。
戻りたいという気持ちは分かる。
だが、途中で果てたら、元も子もない」
ゲンが悲しそうな表情で僕に言った。
「その…通りですね。
実際、川に流されて、ここまで来るまでの間に、
フナとアカテガニに襲撃され、果てそうになりました。
先に進むのは、ヤバく…感じます。
行くのは、止めた方が良いのだと思います。
…。
でも…」
僕は口ごもった。
ゲンは僕をじっと見つめ、
「故郷の草地に…何か想うことがあるようだね。
ゆっくり考えて欲しい、セイ君。
自分が進むべき道を。
悔いのない道をね」
言った。
僕はゲンに頭を下げ、口を開く。
「親切に、ありがとうございます。
自分がどうすれば良いのか、じっくり考えてみます」
その僕の言葉に、ゲンがゆっくりとうなずく。
そして、
タッ。
地面に降りると、
ガジガジ。
落ちている枯れ葉をかじり始めた。