食べ始めてから10分。
腹八分目までよもぎを食べることが出来た。
食事、完了だ。
もう少し食べることが出来そうだけど、これくらいにしておこう。
本当はせっかくハラヒシバッタの村を出て薬草を食べに来たのだから、
お腹いっぱい食べたい。
しかしそうすると、動けるようになるまで時間がかかってしまう。
ここはハラヒシバッタの村から離れた、多くの種族が生息している林の中だ。
ゆっくりしていたら、どんな危険な種族がやってくるか分からない。
残念だけど、やむを得ないよ。
見るとラーナとシイも、すでに食べ終わって体を休めている。
この分なら、10分後ぐらいに村に向けて出発出来そうだ。
「セイさん、ラーナ。
薬草どうでしたか?」
左からシイが聞いてきた。
「かなりおいしかったよ。
良い味と香りだった。
薬草は…よもぎは故郷の草地で1度食べたことがあるだけだったから、
また食べることが出来て、凄く嬉しかった」
僕は満足げにシイに答えた。
右のよもぎに乗ったラーナが、足元の葉を見つめる。
「生育状態の良い薬草でした。
栄養が豊富に含まれていた感じです」
シイがうなずき、周りの薬草を見た。
「ここら辺に生えている薬草は、どれもしっかり育ってますね。
これならセイさんの脚のケガも早く回復するのではないでしょうか」
僕は自分の体を見下ろした。
「そんな感じがしてくるよ。
僕の自然治癒力が数段、高まっているように思える。
数日中に脚の裏のヒリヒリが完全に消えそうだ。
2匹とも、僕に薬草を食べさせてくれて、本当にありがとう」