シイがブンブンと首を横に振る。
「い、いえ…。
村の薬草をごちそう出来たら良かったのですが…」
シイの言葉にラーナがうなずく。
「本当、そうです…。
わざわざ危険な村の外に連れ出してしまって…」
「村に訪れたタイミングが…悪かった。
強風で村のバッタ達がケガをして、薬草が必要になっている時だった。
村の薬草を食べられなかったのは残念だったけど、
その代わり村の外で、
しっかり育った栄養たっぷりの薬草に出会うことが出来た。
大変な思いをしてでも食べたいと感じる薬草に」
僕は嬉しそうに自分が乗った葉を見た。
「確かに良い薬草でした。
ここまでしっかり育った状態の薬草を口に出来る機会は、
めったにないかもしれませんね」
シイの言った言葉に、僕とラーナがうなずいた。
「ずっとこの場所にいられないのが残念だよ。
ここは村の外で、いつ危険な種族がやってくるか分からないから…」
言って僕は触角を澄まして辺りを見回し、
「今は特別…危険は感じられないけど…」
つぶやいた。
シイが触角をピンと立てて周囲を見回し、
「いずれ…やってきそうな感じがします…」
つぶやいた。
僕は2匹に顔を向ける。
「遭遇しないうちに、この場から動きたい。
せっかく薬草を食べて、3匹ともエネルギーを充填したのだ。
体力を消耗して村に戻りたくない。
あと少し休んだら、村に向けて出発しよう」