タッ、タッ、タッ。
針路を少し右に変え、
僕とシイとラーナが固まって離れずペースを合わせて飛び跳ね、
村に向かって進んでいく。
シイが見つけてくれた気配のあった場所の横を通るまで、あと2mほど…。
通る時に相手に見つからないか、心配だよ。
距離が離れるよう進路をとっているので、大丈夫なはずだが…。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
あと1mほどで横を通る…。
気配は特別、こちらには迫っていない。
横を通る時には、それなりの距離がありそうだ。
い…行けるか。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
まもなく…横を通る。
見つからず、抜けるのだ、僕達よ!
タッ!
タッ!
タッ!
3匹が飛び跳ね、
ヒュゥゥゥ!
横を通り過ぎ…、
トッ。
着地した。
タッ!
タッ!
タッ!
動きを止めず、先に向かって飛び跳ねる。
………後ろから、
迫る音も、呼び止める声もない。
や…やったよ。
どうやら見つからず横を通ることが出来たようだ。
飛び跳ねた時、ちらりと相手の姿が見えた。
あの後ろ姿は…クロヤマアリだ。
花の蜜を飲み終わり、巣に帰る途中だったのだろうか。
…村が見えてきた。
あと1mほどだ。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
タッ、タッ、タッ。
この茂みを越えれば、村の中だ―
タッ!
タッ!
タッ!
僕とシイとラーナが跳んで、
ヒュゥゥゥ!
茂みの上を飛び越え―
ガサッ。
草を揺らし、村の地面に着地した。