シイが首を横に振り、
「いえ、実は村の外に薬草を食べに行ったんです。
大分飛び跳ねて後ろ脚が疲れてしまったので休んでいます」
と、ゲンに答えた。
ゲンが驚いて目を見開いた。
「え…、ええっ。
む、村の外に出たの?
危ないよ、外に出たら。
荒くれ者がたくさんいるんだ。
村から外に出てはいけないと前から言っていたのに…」
僕は慌ててコケの中から這い出た。
「す…すいません。
僕のせいです。
僕の前脚のケガを回復させるために、
村の外の薬草の生えているところまで案内してくれて…」
タッ。
ラーナが飛び跳ねてゲンの前に着地した。
「ち、違います、村長。
私のせいです。
2匹が村の外に出るのは危ないから止めた方が良いと言ってくれたのに、
村から10mで近いからと私が無理に誘ってしまって…」
ラーナが必死な表情でゲンに言った。
「そうか…、
ケガをしたセイ君に薬草を食べさせようと頑張ってくれたんだね。
10m、確かに近くて余裕で辿り着けそうな距離だ。
でも…村の屈強なハラヒシバッタ達が見回りをしていないし、
やっぱり危ないよ。
やめて欲しい気持ちだよ」
ゲンの言葉にラーナがシュンと触角を下げた。
「村長の言う通りです…。
実際、行きの時も帰りの時も危険がありました。
セイさんとシイがいなかったら、どうなっていたことか…」