シイも村の端に生えている薬草に顔を向ける。
「そうですね…。
早く元の状態に戻るよう、村の一員として、
しっかりと薬草を大事にしていきたいです」
シイの言葉にラーナがうなずいた。
「私も葉が戻るまで食べないようにします。
…しかし、
薬草ですが本当に以前の状態に戻るでしょうか…?
葉が大分消失してしまっているので、光合成が十分に行えず、
枯れてしまわないか心配です…」
「この村の土の状態は良いし、多分、大丈夫だよ。
それにこれから夏に近付くから、どんどん気温が暖かくなってくるし、
梅雨になって雨も多く降るようになる。
葉が消失した状態の薬草でもしっかり育つさ」
ゲンの言葉を聞いて、ラーナがほっと胸をなでおろした。
「植物が育ちやすい季節になるんですね。
良かったです。
早く葉が元の状態に戻って欲しいです」
「遅くても梅雨が明ける頃には茂っているだろう。
…では自分はもう行くよ。
村の見回りをしないといけないからね。
3匹とも疲れが明日に残らないよう、しっかりと体を休めるんだよ」
ゲンはそう言うと背を向け、
タッ。
村の奥に向かって飛び跳ねて、茂みへと姿を消した。
ラーナが顔を自身の後ろ脚に向ける。
「今日は強く飛び跳ねたから、後ろ脚がかなり重たい感じです。
しばらく休まないと、村長の言った通り、疲れが明日に残ってつらそうですね」
つぶやいて、コケの上まで歩き、体を休め始めた。
それを見て、僕とシイもコケに体を深くうずめた。