草をかき分けながら数m歩き、川岸の近くに到着した。
目の前の草を登って葉の上に乗り、少し先で流れる川を見下ろす。
それほど大きく波はたっておらず、穏やかに海に向かって流れていた。
僕はこの川に落ちて、河口まで流されたのだ。
今、川に落ちた時のことを思い出すと、
大分、運が良くなかったのだと感じる。
もし今の川の状態のように波がたたずに穏やかで、
そして、フナに見つからずに川を泳ぐことが出来たら、
僕はすんなり陸の上に戻ることが出来たかもしれないのだ。
なんと残酷な運命のいたずらだろうか…。
僕は力無く川を見つめた。
しばらくそうした後、
顔を上げて上流の方を見た。
うなだれていても…しょうがない。
これからどうするか考えないと。
薬草を食べたお陰で体のコンディションは良好だ。
明日にはこの村を出発出来そうに思える。
故郷に戻るのなら、出来るだけ早く戻りたいし、
あいまいにしたまま村で過ごすのも落ち着かない。
今日明日中にはどうするのかちゃんと決めないと…。