ラーナが見ている木のてっぺんに僕も視線を向けた。
「本当に…、
眺めが良さそうだ。
故郷に帰らずに、この村で木登りを楽しみながらバッタライフを過ごしたい、
という気持ちが高まってきた…よ」
シイがこちらに向き直って微笑む。
「歓迎しますよ、セイさん。
木登り仲間になりましょう」
ラーナが振り返って真剣なまなざしを僕に向ける。
「それが良いです、セイさん。
ぜひ、この村にとどまって下さい。
セイさんは草の下に閉じ込められた私を助け出してくれました。
頼りになるショウリョウバッタのオスです。
村の一員になってくれたら嬉しいです」
続けてシイが口を開く。
「ここに来る途中で出会ったバレックも、
セイさんが村に残ってくれたら見回りが助かると言っていましたし、
他のバッタ達もラーナを助けてくれたセイさんをこの村にとどめたいと話していました。
村のバッタ達みんな、セイさんを歓迎しています」