村にとどまるようすすめてくれた2匹の言葉に僕は瞳をうるませた。
「ありがとう…、2匹とも。
故郷のことが頭をよぎらなければ、
この村に生活させてもらうということで即決してるよ。
村にとどまることが出来たら安全だし、
2匹とたくさん木に登って遊びたいし…」
シイがこくりとうなずく。
「遊びましょうよ、セイさん。
村にとどまり、一緒に木登りして。
この村に生えている木には20mを超える高さのものもあるんです。
登りがい抜群です」
シイが言って振り返り、村の真ん中辺りに生えている背の高い木を見上げた。
僕もその木を見上げる。
「おお…、
随分と立派な大木だ。
幹がかなり太くて、
天に向かってまっすぐと高く伸びている。
すごく登るのが楽しそうだよ…」
ラーナがその木に一歩近付く。
「登り切って辺りを見渡した時の眺めも良いんですよ。
海や山が一望出来て最高です」