「3匹ともちゃんと疲れが取れて良かったです。
それはそうと…、
セイさん、こんな村の端で川を見つめ、どうしたんですか?
どこに行ったのかと思ってラーナと一緒に探しましたよ」
シイが僕に聞いた。
「い…いや…、
これからどうすれば良いか決められなくて…、
途方に暮れていたんだ。
脚の状態も大分回復し、明日には故郷の草地に向けて、
出発可能だと思ったんだけど、結構な距離があるから危険だと感じて、
決意が出来なくて…」
僕はうつむき気味に答えた。
「そうですか…。
危険があるのですから、簡単に決められることではないですよね…。
…いっそのこと、この村にとどまることにしたらどうでしょうか?
故郷にはセイさんのなじみの仲間がいて、
よく跳び慣れた場所があるのだと思います。
それを思うとセイさんが故郷に戻りたいという気持ちは分かるのですが、
途中で果てたら元も子もありません」
シイが真剣な顔つきで僕に言った。
そのシイの言葉にラーナがうなずく。
「そうですよ、セイさん。
道中どんな大変なことがあるか分かりません。
どうかこの村で身を落ち着かせて下さい。
一緒に木登りなどして遊んで生活しましょうよ」